鮒寿しと健康 - 民間伝承

鮒寿しの栄養

鮒寿しは一般的に栄養価の高い発酵食品であり、ビタミンやミネラル、たんぱく質などを豊富に含みます。発酵によってアミノ酸や有機酸、ビタミンB群、乳酸カルシウムなどが多量に作り出されます。生きた乳酸菌も多く含み、まさに鮒寿しは高滋養食品です。

鮒寿しの民間伝承

湖国近江では鮒寿しが身体を癒してくれるとする民間伝承が今でも脈々と語り継がれています。子どもの頃、風邪をひいたり、お腹の調子が悪いときに鮒寿しを食べさせられた経験を持つ人が近江には多い。調査の結果でも、滋賀県内には鮒寿しの健康に関する様々な言い伝えが残っていることが確認されています。また、鮒寿しを食べて実際に体験した効能として「お腹の調子が良くなった」や「風邪の回復が早まった」、「体が温まった」、「高血圧によい」、「二日酔いに効く」、「疲れがとれた」などがあげられています。

滋賀大学との共同調査では、滋賀県内の各地域(湖東、湖西、湖南、湖北)で鮒寿しの効能に関する民間伝承を調査しました(サンプル数544部)。

鮒寿しの効能に関する民間伝承 [年齢別]

鮒寿しの効能に関する民間伝承 [地域別]

調査の結果、圧倒的に多かったのは、「お腹をこわした時に食べるとよい」でおよそ44%の人が聞いていました。どの地域においても鮒寿し効能の伝承として最も高かった。「腸の善玉菌を増やしてくれる」33%、「免疫力をあげる」が14%、「風邪をひいた時によい」13%、「冷え性によい」5%、「血清コレステロールを下げてくれる」5%、「高血圧によい」が4%でした。
鮒寿しの効能に関する結果を年齢別に分析してみた結果では、これも年齢によって顕著な差が認められました。若い層ほど効能伝承を知らず、年齢を重ねた人ほど効能を聞いた経験をもち、伝承を受け継いでいました。「ふなずしはお腹にいい」は70歳以上では、63%の人が聞いていたが、30代までの人は20%弱しか聞いておらず、80%の人が知りませんでした。ふなずしの効能を実際に経験した人の割合も年齢順に高くなっていました。「ふなずしを食べて、お腹の調子がよくなった」は高齢者では44%の人が効能を経験し実感していましたが、30歳代までの人は8%ほどに過ぎませんでした。
鮒寿しの効能に関する民間伝承における地域差は、湖北で高く湖南で低い傾向が認められました。

実際に体験した鮒寿しの効能 [年齢別]

実際に体験した鮒寿しの効能 [地域別]

食べてお腹の調子がよくなった」人は31%を占めていました。「食べて体が温まった」人は11%、「風邪の回復がはやかった」と答えた人は6%であった。その他少数意見として、「母乳がよくでるようになる(6名)」、「二日酔いに効く(4名)」、「滋養によい(4名)」、「疲れがとれる(3名)」などが挙げられました。

鮒寿しとは?

琵琶湖の特産品「鮒寿し」。
脈々と語り継がれる歴史と大自然のなかで育まれた近江のスローフード鮒寿しをご紹介します。